あたし恋をしてるかも【恋愛短編集】
「俺、今年で文化祭最後だけどさ、今日のこと絶対忘れられないんだろうなぁ。」
赤星先輩が星を見つめながら、静かに語りだす。
「正直1年生と絡んだことないし、ちゃんとしゃべれるか不安だったけど…さくらちゃんと出来て楽しかったぜ?」
そっと近づいてくる、先輩の体。
「私も、すごく楽しかった…。」
それに応えるように、私も寄り添う。
先輩の体は温かくて、涙がこぼれそうになった。
先輩、だいすき。
言いたいけれど、言えない気持ち。
焦ることなんてない。
時間をかけて、歩み寄って行こう。
浮かれていた私は、そんな風に思っていた。
「じゃぁまた明日な!」
そう言って別れたその日、私は軽い足取りで家に帰った。
文化祭当日は、気持ちの良い秋晴れ。
私の気分もカラッと晴れている。
私の初めてのライブも成功し、いろいろな屋台も回った。
だけど一番楽しかったのは、教室ライブの合間に赤星先輩とおしゃべりをしたこと。
一緒に他の教室を回ったりもして、まるで恋人になったような時間だった。