あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 喧(けん)嘩(か)を売ろうとしていた相手がいなくなり、ソリンはすとんと腰を下ろす。

「あのね、ソリンの気持ちもわからないではないの。だけど、ここで喧嘩をしてもどうしようもないでしょう? ここは皆が食事をするための場所なんだから」
「あなたはそう言うけどさあ……」

 エルニーナの言った通り、ここは王宮で働く者達が食事をするための食堂だ。文官も騎士達も同じように利用できる。
 もっとも、食堂は何か所かに用意されているため、騎士団の入っている建物から少し離れたこちらに騎士が来ることはほとんどない。

「……本当、私にもっと力があったらとは思うんだけど」

 エルニーナは肩を落とした。
 王宮で働くようになってから、自分の無力さを感じたのは一度や二度ではない。特に、今朝のように本人の希望や資質とまったく違った場所に配属されるのを目の当たりにした時には。

「エルニーナの言うことは正しいわ。私だって、ここで喚いてもどうにもならないっていうのはわかってはいるのよ。だけど、なんかこのままじゃ悔しいじゃない」
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