あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 じろりとソリンに睨まれて、エルニーナは言葉を失った。本当は、エルニーナ自身、ソリンに完全同意である。

「だからって、強引に彼を厨房係にするわけにもいかないわよ……別の人がもう厨房に配属になったし」

 エルニーナの一存で配属先を変えられるのなら、とっくの昔にそうしている。できないから、苦労しているわけで。

「それはそうだけどぉぉ……!」

 ソリンが、呻(うめ)いた時だった。
 食事を終え去ろうとしていた男性文官達が、こちらに嘲(あざ)笑(わら)うような目を向けてきた。

「仕事が嫌なら、さっさと嫁に行けばいいのにな」
「そうだそうだ。嫁ぎ先で養ってもらえばいいじゃないか。お荷物を抱えているこちらの身にもなってみろ」

 こちらを見る彼らは、自分達が正しいと信じて疑っていない。自分達が、エルニーナ達に正しい道を示していると考えているのだ。

「なんですって?」
「ソリン! ソリンってば! どうどう、落ち着いて。ここは、食堂なんだから」
「どうどうって、私、馬じゃないんだけど!」

 幸いなことに、相手はこれ以上はこちらにかまわず行ってしまった。
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