あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 倉庫を片づけた時に出てきた記録は、まだ手つかずだ。一応からからになるまで乾かしたところで箱にしまっておいたが、復旧にはまだ手をつけられていない。
 ソリンには、書類の整理の方法の設計をまず担当してもらい、それから先代辺境伯領の記録の写しを作ってもらうことになった。
 ソリンが加わって一週間。辺境伯領の文官体制は、見違えるほど変わっていた。
 エルニーナが全体を統括し、提案や計画を立てる。
 セヴェロが物資の管理と在庫の実務を担う。
 ソリンが記録整理の設計と書類の整合性を確認する。ソリンが慣れてきたら、先代辺境伯の残した記録の復旧だ。
 三人で協力すれば、どんな仕事もさくさくと片づけられた。

「ねえ、エルニーナ」

 昼食時、ソリンが隣に座った。辺境伯の屋敷の食堂は、王宮のものに比べれば質素だが、温かくて美味しい料理を出してくれる。

「なに?」
「私、ここに来てよかった」
「……急にどうしたの」

 ソリンが、いきなりそんなことを言い出したのでエルニーナは面食らってしまった。

「仕事が楽しいのよ。辺境伯様は、私みたいな新参者を信用してくださるし」
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