あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 住民だけではない。他の領地から避難してきた者、辺境伯領への移住を考えている者。どこまで噂が広まったのか、エルニーナにもわからない。

「押すな!」
「先に来たのはこっちだ!」
「いや、俺が先だ!」

 門の前で団子になっていた男性達がいきなりもめ始めた。

「お願い、子供がいるんです。お腹を空かせているの」
「母が病気なんです。助けて!」

 避難民達の中には、病気の者もいれば、満足に食事をしていない者もいるらしい。

「辺境伯から受けた仕事で怪我をしたんだ! 補償を求める!」

 作業中に怪我をした職人も、なんらかの手当てがもらえるかもと聞いて屋敷に来たようだ。

「並んでください! 落ち着いて! 全員の話を聞けるようにしていますから!」

 エルニーナが彼らを押しとどめようとするものの、だれもエルニーナの話は聞いていない。
 怒号が飛び交い、あちこちで殴り合いまで起き始める始末。

(まさか、こんなことまで想定してなかった……!)

 コルネリオもエルニーナに助力してくれるが、若い女性と初老の男性だ。暴れる人達を留められるはずもない。

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