あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
「証文を持ってこいって言われたけど、魔物に家をつぶされた!」
「ここに来れば仕事がもらえるって聞いたんだが」

 声が重なり、押し合いが始まる。

「怪我人はこっちだ! 病人もこっち!」
「住居はこちらに!」

 役人達も声をあげるが、彼らの声も耳に入らないようだ。どうしよう。このままでは怪我人が出てしまう。

「落ち着け!」

 その時、ドラヴェンが一喝した。彼の声は、ここが魔物と対峙する戦場であるかのように響いた。
 ざわざわとしていた人達も、彼の迫力に気圧されたかのように静まり返る。

「全員の話を聞けるように準備している――そこで殴り合っているやつは、連行しろ! 後で改めて話を聞く」

 喧嘩をしていた者達は、辺境伯領の騎士達の手によって引きはがされた。まだわあわあとわめいているが、訓練を受けた騎士にかなうはずもない。
 あっという間に拘束され、そのまま担がれるようにして運ばれていった。落ち着いたら話を聞くと言っていたので、任せておけばいい。

「用のある者は、こちらの指示に従って列に並べ。順に話を聞く」

 ドラヴェンの一喝により、いったんは落ち着いたように見えた。
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