あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 声が震えないように、精一杯の笑顔を作った。腐らずに、自分にできる精一杯をやってきただけ。それでも、ドラヴェンはエルニーナを認めてくれた。

「辺境伯様が任せてくださったから、できたんです。私の提案を聞いてくださって、人を集めることを許してくださって、危ない時は守ってくださって」

 ゲオルグの件は直接触れなかったが、彼はわかっているはずだ。

「そんな上司は、初めてでした」

 ドラヴェンは何も言わなかった。ただ、空を見上げたまま、静かに息を吐いた。
 二人の間には、心地よい沈黙が満ち始めていた。静かによりそって、空を見上げる。どちらも口を開かなかったけれど、こうして並んでいるのがとても自然なことのように思えた。
 夜風が、エルニーナの金髪をそっと揺らすのにはっとした時には、外に出てきてからずいぶん時間が過ぎていた。酒に火照っていた身体も、だいぶひんやりとし始めている。

「……戻るか」
「はい」

 ドラヴェンが先に歩き出し、エルニーナがその後に続く。
 酒場の扉に手をかけた時、中からどたばたと物音がして、一瞬だけ中の空気がざわめきをましたように思えた。

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