あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
「……どうしたのかしら?」

 扉を開けると、全員が何食わぬ顔で席に座っていた。
 ソリンがジョッキを傾けながらこちらを見ているけれど、その目が笑っている。
 セヴェロが顔を真っ赤にしてエールを飲んでいるのは、酔いのせいなのか別の理由なのか。コルネリオは、まだ居眠りの真っ最中だ。

「お帰り、ずいぶん長い間話し込んでいたわね?」

 ソリンの一言に、エルニーナの顔が一気に赤くなった。

「ち、違うわよ。ただ外の空気を……」
「はいはい。辺境伯様、もう一杯どうぞ」

 ソリンがドラヴェンに新しいジョッキを差し出す。ドラヴェンは黙って受け取ったが、耳の先がわずかに赤いのを、エルニーナは見てしまった。

(……見られてた。絶対、見られてた)

 明日から、どうしよう。
 まともにドラヴェンの顔が見られるとは思えない。


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