あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
「街道が封鎖にならないか、心配でございますね」

 珍しくドラヴェンとエルニーナの会話にジャイルが割り込んできた。
 彼は、基本的には辺境伯家の屋敷内のことには積極的には口を出すが、領内の政には関わろうとしない。自分の仕事は、内向きのことだと認識しているのだろう。

「……そうだな、雪の中でも商人は行き来してくれるが……あまりにも、雪が深いと来られなくなるからな。十年前の寒波の時も大変だった」

 王都より雪が多い辺境伯領では、基本的には冬に来る商人はあまりあてにしていないらしい。そのため、この地では秋から冬にかけては、領民達も自宅に備蓄を用意する。必要な時に必要なだけの食料や燃料を確保できるとは限らないからだ。

「……領民達はある程度備えているだろうが、避難民達に備蓄は期待できないだろうからな」
「ええ、辺境伯様のご命令で備蓄は多めには用意したのですが……それでも、間に合わなくて」

 避難して来る者が多かったため、いつもの年より三割増しで備蓄した。本当は、六割増しまで増やしたかったのだが、そこまで集められなかった。
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