あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 彼らの会話に口を挟まずに見ていたら、セヴェロは手にしていた台帳を捲り始めた。目的のページを見つけたらしく、セヴェロはそれをエルニーナの方に突き出す。

「食料はまだ大丈夫。燃料は足りなくなるかもだけど、騎士団の倉庫から回せれば問題なさそう。薬も大丈夫かな……あとで、辺境伯様の方にまとめて届けるよ」
「お願いします」

 何もなければいい。
 そう思ったけれど、なんだか嫌な予感がぬぐえない。それはセヴェロも感じているようで、彼の目からはいつもの陽気さは失われていた。


 エルニーナの不吉な予感が的中するまで、それから一週間もかからなかった。

「避難民が押しかけて来た?」

 朝、執務室に入ったらドラヴェンも困惑した様子だった。門の前に、他の領地から避難民が押しかけているらしい。

「秋からの辺境伯家の行いが、他の領地にまで広がっていたそうだ。ここならば、充分に備蓄がある、と」

 指示を求めて執務室に来ていたコルネリオが、ため息をついた。まさか、ここまで辺境伯家の取り組みが広まっているとは思わなかったのだろう。

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