あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
「放置しておくわけにもいかないな……まずは役所に入れよう。本館と離れは、領民の避難場所だ」
「わかりました。じゃあ、役所の二階と三階をあけます」
「コルネリオさん、厨房を借ります。お湯を沸かして、温かな飲み物を……と、その前に部屋を暖めないとですね」

 各部屋には、魔石ストーブがある。魔石は、薪を使うよりも長時間部屋を暖めてくれる。暖炉の上に鍋を置けば、煮込み料理も作れるし、湯も沸かせる。

(だけど、本来の予定じゃ本館と離れだけだったから……)

 把握している限りでは、今年は本館と離れだけで収容できるはずだった。役所にまで収容するとなると、備蓄の配分を見直さなければならない。

「セヴェロさんに言って、備蓄食糧も出してもらいますね」
「頼む。俺は、騎士団の方に行く。警備の手が必要だろう」

 ドラヴェン自ら出てくれるつもりらしい。
 ここまで来た避難民達は気が立っている者も多いだろうから、騎士が出てくれるのならばありがたい。
 こういう時、率先して動いてくれる上司はありがたいと思う。かつての上司は、エルニーナを動かすことしか考えていなかったから。

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