あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 騎士に巡回を任せず、彼自ら巡回しているのも、皆の話を聞いているのもその証拠。けれど、彼の心は、どうやったら穏やかになるのだろう。

(そんなこと、考えてる場合じゃないわ。私は、私の仕事をしなくちゃ)

 成長に影響も出るだろうし、子供は空腹を我慢できないから、優先的に渡したい。
 身体の弱っている人も優先的に。それから、雪かきや破損した建物の補修など力仕事に協力してくれている人もできるだけたくさん食べさせたい。

(……不公平にはなってしまうけれど)

 配給の量を、調整するしかないだろうか。このあたりは、ドラヴェンの判断を仰がねばならない。
 絶望的な計算を終えて、大きなため息をついた時だった。

「辺境伯様?」

 ドラヴェンが執務室に戻ってきた。彼の手には、湯気を立てているカップが二つ。

「燃料まで節約しているんだろう。身体の内側から温めておいた方がいい」
「ありがとうございます。この部屋にいるのは私だけですから」

 執務室全体を温めるのでは、燃料の無駄使いになる。それもあって、暖炉の火は消してしまっていた。

「エルニーナ嬢、教えてくれ。物資は、どのぐらいもつ?」
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