あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
「そうですね……」

 彼が持ってきてくれたのは、暖かくて甘いココアだった。このところ、牛乳も遠慮していたから、ココアも久しぶりだ。
 考えながらひと口すすれば、お腹がかっと熱くなった。よほど冷えていたらしい。

「ショウガも入ってますね」
「その方が温まるからな」
「たしかに。すごく美味しいです」

 ココアの香りとショウガの香り。冷えきった身体には不思議に合う。ココアのぬくもりが、ぽかぽかと全身を温めてくれた。

「それで、物資はどのぐらいもつ?」
「節約して、あと二週間というところでしょうか。避難民の数が、想定を大幅に超えているので……春まではもつはずだったのですが」
「その前に街道が解除されればいいんだが、この雪では望み薄だな……コルネリオはどのぐらいと言っていたか?」
「五日は続くのではないかと予想していました」

 ドラヴェンが、暗い窓の向こうに目をやる。
 しんしんと降り積もる雪は、こうして室内から見ている分には綺麗だが、一歩外に出れば恐ろしいほどの寒さが襲いかかってくることになる。
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