あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 道を見失ってしまえば確実に凍死してしまうため、皆、外には出ない。辺境伯領の庭でも遭難しかねないため、倉庫への行き来は、張ったロープをたどりながら歩いているほどだ。

(……でも、この人は諦めていない)

 ドラヴェンは、最悪の状況から目を背けたりしない。それが、なぜかエルニーナにはわかった。
 こうして窓の外を眺めている間にも、彼の頭は目まぐるしく回転している。

「身体は大事にしてくれ。燃料の節約も大事だが、エルニーナ嬢が倒れるのは困る」

 ふと、静かな部屋に彼の声が響く。
 はいと頷きかけてエルニーナは耳が熱くなるのを覚えた。

(……こんなの、許されるはずないのに)

 このところ、彼のこうした態度に胸がつい騒いでしまう。彼と結ばれるなんてこと、あり得ないのに。




 深夜にそんな会話をした翌日、ドラヴェンは配給の割合を変えると決めた。昨夜、エルニーナが必死に計算していた配分だ。

「充分備蓄したはずだったが、思いもかけない寒波に見舞われている。しばらくの間、我慢してくれ」

 エルニーナが立てた計画を彼は受け入れてくれた。
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