あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 エルニーナの言葉に、声をかけてきた男性はちっと舌打ちした。
 気持ちはわかるが、目の前で舌打ちされたらこちらも委縮してしまう。

「自分だけ腹いっぱい食べようってんじゃないだろうな」
「私は、優先順位で言うと一番下ですね」

 健康、かつ肉体労働に従事していない者は、配給の優先度が低くなる。エルニーナ自身もそうだ。

「私も減らしてもらってかまわんよ。執務室で、書類の相手しかしておらんしな」

 と、横から口を挟んだのはコルネリオだ。
 年上の男性が来たことに、エルニーナに高圧的に出ようとしていた男性は、言葉を継ぐ機会を失ったようだった。

「コルネリオさんは食べてください。雪かきをしていたのを知っているんですよ」

 役所で書類の相手しかしていないと言いつつ、コルネリオはあちこち出没している。
 避難民達の話を聞いていたかと思えば、雪かきに加わり、そして騎士達が持ち帰ってきた魔物の肉を解体していることもある。彼はたくさん食べなければ。

「エルニーナさん、だが、これもいつまでも続かんぞ」
「わかっています。辺境伯様も、その点はご存じです」

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