あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
「なあ、そうなんだろ? あんた達だけ腹いっぱい食ってるんだろ?」
「なんで、そんな言い方になるのよ。エルニーナがどれだけ頭を悩ませているか、あなた達理解してないの?」

 エルニーナ達だけこっそりお腹いっぱい食べているどころか、配給が足りなかった時は自分達の分は抜いてしまうこともある。
 昨日の夕食は、パンをかじっただけだった。今朝の朝食は、鍋の底に残ったスープをソリンと二人で分け合った。自分達だけ、お腹いっぱい食べているなんてことはない。

「倉庫を見せてみろよ。本当は、山ほど食料があるんだろ?」
「燃料もな!」

 このところ食事を控えていたからか、頭があまり回っていないらしいソリンは、避難民への対応を間違えてしまったようだ。
 集まっていた人達の間に、不満の種がまき散らされた。

(まずい、このままじゃ)

 暴動が起きかねない。なんとか、避難民達をなだめなければ。
 ここで騒ぎが起きたなら、辺境伯家で働く人達に、迷惑をかけることになってしまう。

「私達は、嘘はついていません。食料も、燃料も、そこに記されているのがすべてです!」
「こいつらから、倉庫の鍵を出させよう」
< 156 / 272 >

この作品をシェア

pagetop