あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
「そうだ、もっと部屋を暖めないと。寒くて昨日は眠れなかった」

 声を張りあげるも、彼らの耳には届いていないようだった。
 それどころか口々に言い出した避難民達は、エルニーナとソリンの腕を掴もうとした。

「倉庫にこいつらを連れて行って、物資を吐き出させよう」
「それがいい!」

 慌てて身をひるがえして逃げ出そうとするが、彼らの方が速かった。腕を掴まれ、後ろ手に捻り上げられる。

「痛いわ!」
「離して! ソリンを離して!」

 エルニーナがここに来たから、ソリンも後から追いかけてきてくれた。ここで、ソリンまで巻き込むわけにはいかない。
 なんとかソリンだけでも解放してもらおうと声をあげた時。

「二人から離れろ!」
「わあ!」

 背後から、鈍い音がしたかと思うと、掴まれていた腕が放された。

「誰だ、邪魔するな――辺境伯様!」

 一歩、二歩、前によろめいてから振り返れば、そこにドラヴェンが立っている。茫然と見ている間に彼は、エルニーナとソリンをかばうように位置を変えた。
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