あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 避難民も、彼の顔ぐらいは知っている。エルニーナとソリンに食って掛かっていた勢いはどこへやら、彼らはしゅんとしてしまった。

「物資が足りなくなりかけているのは、事実だが、配給の方針は俺が決めた。文句があるなら俺に言え」
「じゃあ、どうするんですか。子供達を飢えさせるつもりですか」
「手は討つ。少し待て」

 エルニーナも、ソリンも何も言えずにそのやりとりを見ているしかなかった。

「……エルニーナ」

 震える声でエルニーナの名を呼んだソリンがしがみ付いてくる。彼女の背中に腕を回して慰めるように撫でながらも、エルニーナの胸は一杯だった。

(……助けてくださった。でも、手は打つって……)

 この状況で、できることがあるのだろうか。こんな風に閉じ込められるのなんて、予想していなかっただろうに。

「皆を集めてくれ」

 ドラヴェンの言葉に、エルニーナはうなずいた。すぐに役所の一室に、辺境伯家の役人達が集められる。

「アルジェンタ商会が、食料を集めてくれている。燃料も。だが――封鎖された街道で身動きが取れなくなっている」

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