あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
「領民や、この地に避難してきた者達を放置できないだろう。騎士団から誰かやることも考えたが、雪竜の扱いに慣れている者全員を出すわけにもいかない」

 辺境伯領で馬の代わりに使われている雪竜は、馬と比べると、圧倒的に寒さに強い。
 力強い脚で、どんな雪の上でも歩いていける。討伐に出かける騎士達も、雪竜を連れて行き、帰りは雪竜につないだそりで魔物を持ち帰ってくる。

「で、でも、辺境伯様、それは危険だと……」

 そう口にしかけて、エルニーナはそれ以上続けられなかった。危険なことぐらい、彼だって理解している。

「雪竜にそりを引かせれば、馬よりずっと速く進める。朝、屋敷を出れば、夕方には向こうにつく」
「……ですが」
「吹雪は続いているが、雪竜ならば、吹雪の中でも方向を見失うことはない。領境まではよく出かけているから、黙っていても運んでくれる」

 反対したい。でも、できない。
 彼が、この地のために尽くそうとしているのをわかってしまうから。

「辺境伯様だけが行かれるのですか?」
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