あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 だんだんこちらに近づいてくるそり。先頭のそりに乗っているのはドラヴェンだ。
 みるみるそりは近づいてきたが、出発前と明らかに違うことがあった。五頭の雪竜が、それぞれ二台ずつそりを引いて出かけたはずだった。
 けれど、戻ってきた雪竜は十頭。五頭、どこで増えたのだろう。

「あれ、爺が来たの?」

 そりが戻ったのに気付いて出てきたセヴェロは、前から三台目のそりに目をやって丸くした。ドラヴェンのそり、騎士のそり、それから見知らぬそりが五台続いて、最後にまた辺境伯領の騎士のそりで移動してきたらしい。

「旦那様のご命令で、封鎖が解除次第こちらに向かえるように、雪竜を集めていたのですよ。ちょうど、辺境伯様がおいでになったので、共にこちらに参ることにいたしました」

 爺と呼ばれたのは、もう七十近いのではないかと思われる老人だった。絶対、コルネリオよりも年上だ。
 だが、腰は曲がっていないし、肩にもしっかりと筋肉がついている。年齢と比較するととても若い。

「父さんが? それは助かる」
「ぼっちゃんがひもじい思いをしているのではないかと心配なさっておりましたよ」
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