あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
「エ、エルニーナ嬢、物資を倉庫に入れる」
「お、お手伝いします!」

 彼との間に不意に生まれたぎこちない空気。振り返ったら、ソリンはにやにやとしながら、こちらを見ていた。

(……やらかしたわ!)

 エルニーナにできるのは、真っ赤になった顔を隠すようにバタバタと仕事に取り掛かることだけだった。


◇◇◇



王都の冬は、いつになく厳しかった。マクシムは、北の方に目をやる。はるか遠く、極の地に弟がいるはずだ。だが、辺境に向かって思いを馳せれば、浮かんでくるのは苦々しい思いだ。

(……なぜ、あいつはつぶれない?)

 独身のまま生涯を終えた叔父の養子になったドラヴェンは、十年の間一度も王都に足を踏み入れていない。
 幼い頃から、将来の国王として厳しい教育を受けてきた。だが、ドラヴェンは涼しい顔をして常にマクシムの上を行っていた。
 ある日、王都を訪れた叔父は、マクシムに向かってこう言った。
『なあ、ドラヴェンを貰っていってもいいか? 俺にも後継者が必要だからなあ』

 あの時、自分はどう思ったのだろうか。
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