あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 ドラヴェンが気を使ったが、ステファノは彼の心遣いを受け取るつもりもなさそうだ。仕事をさっさと終わらせて王都に戻りたいようだ。

(……さっさと王都に引き上げてくれるのなら、その方がありがたいと言えばありがたいけれど)

 ステファノとは仲良くおしゃべりをするような仲ではない。さっさと仕事を片付けて王都に帰ってもらおう。監査されて困ることなんて何一つないのだから。
 エルニーナが仕事部屋として与えられていた執務室の隣の部屋を、監査室とした。その部屋には鍵をかけ、許可を得た者しか入れないようにした。当然、エルニーナの鍵もドラヴェンに渡してある。

「必要な資料は全部渡す。テーブルの上に積んであるが、足りないものがあれば何でも言ってくれ」

 騎士団の医師がまとめている医薬品の記録を含めた物資の記録、ソリンが復旧した昔の記録の写し、領民の出生届や死亡届等、コルネリオ達が扱っている書類。
 それから王都から来たエルニーナを含め、辺境伯領の役人として働いている者達が毎日つけている報告書に辺境伯領の収支についてまとめたもの、辺境伯家個人の財産の記録。そして、この冬の避難民に対応した時の記録。
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