あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
(……辺境伯様は、自分が責任を取るとおっしゃっているけれど)

 それは、裏を返せば王の権威に逆らうという意思表示でもある。
 物資の持ち出しをステファノに気づかれたなら、王都に戻ったあと、『辺境伯家に反乱の意志あり』と報告されかねない。
 そんな危険を冒させるわけにはいかない。幸い、明日の朝食までは今厨房にある分で供給できる。

「辺境伯様一人に責任を負わせるなんてできません――彼の指摘を覆せないか、やってみていいでしょうか」

 エルニーナの提案に、皆、怪訝な顔になった。辺境伯であるドラヴェンも。

「エルニーナ嬢は、何を考えている?」
「私が辺境伯様の署名を忘れていた書類については、追認という形で署名をいただきます。これは、すぐに解決できますね」

 後からであろうがなんだろうが、ドラヴェンが許可を出せばそれでいいのだ。エルニーナが彼から権限を預かっていたという証明もできる。

「書類の形式が違っていたという点については、今が移行の準備期間であると主張できます」
「でも、どうせ台帳を整理するのなら、そのタイミングで王国の形式に合わせろって言われるでしょう?」

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