あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 先代辺境伯の執務室にあった書類は、すっかりかびてしまっていた。だが、ソリンを中心に役人達が写しを作った。
 原本も保存してあるが、写しで確認して、対応する原本をステファノに見せればいい。

「じゃあ、二階の仕分けは倉庫係の方でやっておく。エルニーナさんとソリンさんは、書類をお願い」
「任せて」

 立ち上がったソリンは、エルニーナの腕を掴んで立ち上がらせる。

「さ、行くわよ」

 エルニーナもうなずいた。ステファノに付け入る隙は与えてしまったが、まだ巻き返しもできるはずだ。
 とうとう、監査の最終日がやってきた。
 命じられた書類を揃えてステファノの前に差し出したら、彼は鼻で笑った。無駄な努力ってどういうことだろう。エルニーナの眉間に皺が寄る。

「お前がどれだけ頑張ろうと、辺境伯の力は削がれる。国王陛下がそうお望みだ」

 どうやら、ステファノはエルニーナのことをよほど愚かだと思っているに違いない。

(国王陛下がそう思ってるって、私が辺境伯様に報告してしまったらどうするつもりなのかしら)

 ドラヴェンに言質を与えてしまっていいと思っているのだろうか。
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