あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 エルニーナが愚かだから何を言ってもいいと思っているとしか考えられない。

(……辺境伯様は、簒奪なんて起こすつもりはないのに)

 ここで反論するのはたやすい。だが、今はまだ駄目だ。

「さて、今日で監査は終わりだ。陛下にいい報告ができると思っている」

 それは、辺境伯領に反乱の意志があるということだろうか。そんなこと、絶対にないのに。

「辺境伯様の方でも、準備は進めておいでです。ご確認くださいませ」

 ドラヴェンが、ステファノにどう対応するつもりなのかエルニーナは聞いていない。それは、エルニーナの領分ではないから。
 執務室には、すでに皆が待っていた。ステファノが座るテーブルの上には、彼が監査を済ませた書類。
 それからドラヴェンが座っている側には、皆が集めた書類が用意されていた。

「俺が署名を忘れた書類についてだが、こちら、追認した。俺のミスだからな、問題ないだろう――ああ、台帳と在庫にずれがないのも昨日確認したぞ。この件については、これでかまわないな」
「まあ、よろしいでしょう。辺境伯様自ら、わざわざ食料集めに出る理由は理解できませんが」

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