あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
「私なんて……何もたいしたことをしたわけでは。結局、あの人に言いたい放題させてしまったし」

 ここに来て、ドラヴェンから信頼してもらって、少しは変わったと思っていた。だがそれは、エルニーナの勇み足だったようだ。
 今だって、ああ言えばよかった、こう言えばよかったと、頭の中をぐるぐるするのは後悔の言葉ばかり。

「俺は、そうは思わない」

 きっぱりとドラヴェンがそう言って、エルニーナは鼓動が跳ねるのを自覚した。
 認めたくないのに――この人の言葉は、どんなに短くてどんなに単純なものでも、簡単にエルニーナの心を浮き立たせてしまう。

「ここに来た頃のエルニーナ嬢は、俺に何を言うにしてもびくびくしているように思えた。なんでだろうと思っていたが、元の上司があれではな」

 肩をすくめるドラヴェンの仕草に、ついエルニーナも笑ってしまった。それと同時に、ここに来た時には、びくびくしていたのかと思わされる。

(辺境伯様に怯えていたわけではないのだけれど……)

 

 たしかにステファノを相手にした時は、何も言えなくなってしまうことも多かった。

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