あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
第七章
視察に来たステファノ達が引き上げていって二週間。
 辺境伯の屋敷のあたりは、完全に雪が溶けた。庭園の花々もすくすくと育ち始めていて、そろそろ花開こうとしているものも多い。

「屋敷にいる避難民の中で、まだ次の行き先が決まっていない人っている?」

 ソリンの問いかけに、エルニーナは手元の名簿を捲った。
 どこから来て、どうして辺境伯領に来たのか、避難を終えてどうするつもりなのか、そして行き先が決まっているのかいないのか。家族構成と共に記されているそれらを確認していく。

「全員決まったわ。最後の家族が、明日出発予定よ」
「それなら、よかった。ええと、次は……」
「手紙が来たみたい。受け取ってくる」

 ちょうど、執事のジャイルが銀のトレイに載せた手紙を持ってくるのが見えた。
 実家からの手紙が届いているかもしれない。次に長期休暇が取れたら帰りたいと思っている。

「こちら、エルニーナ様とソリン様宛のお手紙でございます」
「ありがとう、ジャイルさん!」

 トレイの上には、何通かの手紙。
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