あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 冬の間に、何通か手紙を送ってくれたらしいのだが、エルニーナからの返事がなくて心配していたようだ。街道が封鎖されるなんて、知らなかったらしい。
 たしかに、ヴァレスク男爵領はここからもう少し南の方にある。北の方との取引もないから、知らなくてもしかたない。
 家族には大丈夫だと返事を書くことにして、ティベルからの手紙を開いた。

(……そっか、もうそんな時期なのね)

 手紙によれば、春の討伐軍が編成される頃合いだそうだ。辺境伯領の隣の領地に派遣されるようで、情報集めを頼みたいと書かれている。

「エルニーナ? どうしたの?」
「マクシム騎士団の騎士団長、ティベル・ロッカ様からのお手紙だったの。隣の領地に派遣されることになったから情報を集めてほしいって」
「……なんで、エルニーナ個人に手紙を書いてくるのかしら」
「そうなのよね。領主に依頼を出せば、普通は協力するでしょうし」

 騎士団が遠征に行く時、現地の領主を始め、その地で暮らしている人に協力を求めるのはおかしな話ではない。
 だが、わざわざエルニーナ個人に情報を求める理由がわからないのだ。
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