あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
服の上から乱暴に腕に巻きつけた布は、血止めだろうか。完全に乾き、色が変わっていた。
彼を乗せてきたらしい馬も疲れ果てた様子で、ぐったりとしていた。
「何があったんですか!」
「……エルニーナ嬢!」
エルニーナの口から上がったのは、悲鳴じみた声。マクシム騎士団専属の文官として働いていた頃、何度も顔を合わせた騎士だった。
「何があった? いや、まずは手当か。医師を呼べ!」
「マクシム騎士団は……八割が死亡、もしくは負傷。壊滅した……魔物の気が立っている。辺境伯領には……援軍を願いたい」
「騎士団員を集合させろ! エルニーナ嬢……エルニーナ嬢……?」
マクシム騎士団が壊滅状態と聞いて、頭が真っ白になっていた。そんな場合ではないのに。
「エルニーナ嬢!」
「は、はいっ!」
何度も声をかけられてから、ようやく気が付いた。頭を振って衝撃を追い払おうとし、気持ちを落ち着けてからドラヴェンの方に向き直る。
「早急に援軍を出す。執務室に副騎士団長を呼べ。エルニーナ嬢は、その騎士を執務室に連れてきてくれ」
よろりと立ち上がった騎士は、それでも自分の足で歩き始めた。
彼を乗せてきたらしい馬も疲れ果てた様子で、ぐったりとしていた。
「何があったんですか!」
「……エルニーナ嬢!」
エルニーナの口から上がったのは、悲鳴じみた声。マクシム騎士団専属の文官として働いていた頃、何度も顔を合わせた騎士だった。
「何があった? いや、まずは手当か。医師を呼べ!」
「マクシム騎士団は……八割が死亡、もしくは負傷。壊滅した……魔物の気が立っている。辺境伯領には……援軍を願いたい」
「騎士団員を集合させろ! エルニーナ嬢……エルニーナ嬢……?」
マクシム騎士団が壊滅状態と聞いて、頭が真っ白になっていた。そんな場合ではないのに。
「エルニーナ嬢!」
「は、はいっ!」
何度も声をかけられてから、ようやく気が付いた。頭を振って衝撃を追い払おうとし、気持ちを落ち着けてからドラヴェンの方に向き直る。
「早急に援軍を出す。執務室に副騎士団長を呼べ。エルニーナ嬢は、その騎士を執務室に連れてきてくれ」
よろりと立ち上がった騎士は、それでも自分の足で歩き始めた。