あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 裏口から飛び出す。上着を着ずに出てきてしまったから、外の空気はひんやりとしていた。

(どうして、どうして、どうして)

 座り込んだのは、倉庫の裏手だった。表は荷物を運び出す人々の声ががやがやとしているが、ここまでは誰も来ない。
 マクシム騎士団の騎士達と過ごしたのは三ヶ月。だが、その三ヶ月はエルニーナにとっては濃密な時間だった。
 初めてエルニーナの能力を信じてくれたティベル。彼は、無事なのだろうか。
 魔術だけではなく、弓を使うようになったガルフォードは。
 水魔術を使うようになったラウロは。
 馬の世話に加わったカークは。
 エルニーナの存在を疎まずにいてくれた彼らは、どうなったのだおるか。
 膝を抱えて座り込んだ。
 ぼろぼろと溢れてくる涙、口からもれる泣き声を、膝に顔を押し付けることで殺そうと試みる。

(私がもっとちゃんと引継ぎをしていたら、何か変わった? あの人に対して何を言っても無駄だって諦めるんじゃなくて、もっと戦っていたら違った?)

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