あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 戦闘用の装束に身を包みながら、ドラヴェンは心の中でつぶやいた。彼の視線の先にあるのは、辺境伯領の地図だ。
 いつ、どこで何があっても考えをまとめられるように私室にまでも辺境伯領の地図を張っている。
 ヤーゴット伯爵は気の優しい領主で、戦闘は不得手だ。
 魔物の討伐もあまり得意ではないが、辺境伯領で魔物を押しとどめていたため、今まで彼の領地には大きな被害は出ていなかった。
 魔物の生態系に、どんな影響があったというのだろう。
 いや、今はそれどころではない。
 エルニーナがアルジェンタ商会の伝手を使ってティベルに手紙を送った時、ドラヴェンは別のルートで同じ内容の手紙を送っていた。
 兄である国王に、マクシム騎士団の遠征について注意を促すための手紙だ。地図には印をつけ、詳細なデータを書いた紙も同封した。
 少しでもマクシム騎士団の損害を抑えられればと思っての行動だったが、無駄だったらしい。自分の名をつけた騎士団ならば大切にしているのではないかと思っていたが、まったく違ったようだ。

「俺の手紙に真剣に取り合ってくれていたら……こんなことにはなってないだろう!」

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