あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 その隣にいるソリンは、いつもとあまり変わらないように見えた。ソリンがいるならば、エルニーナは大丈夫だ。二人は、互いに支え合っている。

「コルネリオ、ジャイル。三日で戻る。屋敷と領地を頼んだ」
「かしこまりました」

 ジャイルとコルネリオの声が、綺麗にそろった。二人とも、深々と頭を下げる。
 何か言いたそうにしていたエルニーナは、数回口を開いたり閉じたりした。それからようやくと言った様子で絞り出す。

「……お気をつけて」
「大丈夫だ。俺は、怪我をしないし、死ぬこともない」

 なぜ、そんなことを言ったのか自分でもわからない。けれど、たしかにエルニーナはホッとしたように顔をほころばせた。

「辺境伯様、あなたのせいではありません」

 そう言ってから、エルニーナは目を丸くした。自分で自分の口にした言葉に驚いたのかもしれない。

「……ああ」

 どうして、彼女は自分が責任を感じていることに気づいたのだろう。短い言葉しか返せずにいたら、エルニーナはそっと視線を落とす。
 今は、これ以上考えている余裕はない。救助を待つ騎士達がいるのだから。


 ◇ ◇ ◇



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