あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 そして、今、彼が一番大切に思っているのはドラヴェンと――領地を支えている人達だ。エルニーナも含めて。

「俺は、あの人を刺激するつもりはなかったんだ」
「存じております」
「……あの人は国を守る、俺は辺境を守る。それでよかったじゃないか」

 ドラヴェンは養父の剣を手に取る。先代辺境伯が、倉庫に隠していた剣の一振り。ほとんどは配下の騎士達に渡してしまったけれど、手にしっくりときたこれだけは手元に残した。
 今回の救援も、この剣を使った――辺境伯として、この地で静かに暮らす。兄と争わず、この地を守り続ける。
 それが、養子に入った時にドラヴェンが自分に課した生き方だった。養父も同じ気持ちで、この地で生涯を終えた。
 大雑把で、書類仕事が苦手。「あとのことは明日の俺が頑張る」が口癖。やりたくないことは先延ばしにする人。
 だが、領民を、この地を守るという意思だけは常に持っていた。

(養父上なら、どうしただろう)

 鞘から抜いた剣が、光を反射して輝く。
 どうするのがいいのだろう。
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