あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 警告を無視し、責任を他人に押しつけ、騎士団を壊滅状態に追いやった兄。今回の被害は騎士団だけだったが、もしこれが国民全体に及んだなら。

「旦那様……思う通りになさればよいのですよ」

 ドラヴェンの気持ちを汲み取ったかのようにジャイルが口にする。それだけで、気持ちがすっと楽になった。
 まだ、迷いはある。今後もきっと、今回の判断が正しかったのか振り返ることもあるだろう。
 ――でも、今やらなければ最悪の未来を迎えることになる。

「近いうちに、王都に向かう」
「お任せくださいませ」

 丁寧にジャイルは頭を下げる。
 近いうちに、兄と話をつけなければならない。


 ◇ ◇ ◇



 国王からの二通目の手紙が届いたのは、マクシム騎士団の負傷者達が辺境伯領で療養を始めてから十日後のことだった。
 午後の執務室。このところ、ドラヴェンがぴりぴりしているのは痛いほどに感じている。いや、ぴりぴりしているのはドラヴェンだけではなかった。
 騎士達も、役所で勤務している役人達も、皆、心のどこかに緊張を抱えている。
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