あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 事態が大きく動こうとしている雰囲気はあるものの、それがいつになるのかわからない。辺境伯の屋敷が、そんな空気に包まれていた。

「……王宮からの書状でございます」

 銀のトレイに載せられた手紙を、ジャイルがうやうやしく差し出す。
 ドラヴェンは、無言で封蝋を切った。

(……あまり、よくないお話みたい)

 封筒を受け取った瞬間から、ドラヴェンの眉間には皺が寄っていた。読み進めるにつれて、その皺はますます深くなっていく。

「エルニーナ嬢。王宮から、エルニーナ嬢を王都に戻すようにと通達が来た」
「……私を、ですか?」

 エルニーナが辺境伯領へと派遣になったのは、もう一年前のことである。今さら王都に戻す理由があるとも思えなかった。
 辺境伯領での勤務を終えて王宮勤務に配属が変更になるという話ではないだろう。それならば、正式な辞令が送られてくるはずだ。

「先の討伐で、マクシム騎士団が壊滅状態に陥ったのは、エルニーナ嬢に責任があると結論が出た」

 一瞬、彼が何を言いたいのか理解できなかった。首をかしげて考え込み、それから目をしばたたかせる。

「私の責任……でしょうか」

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