あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 口から出てきた声は、我ながら呆れたものだった。昨年の春の討伐作戦に関しては、エルニーナは綿密にかかわった。
 だが、昨年の秋の討伐も、今回の春の討伐もエルニーナは関わっていない。というより、今回の作戦には、本来人事の担当であるステファノが大きく関わっていたのではなかったか。

「それは、俺もわかっている。エルニーナ嬢の残した引き継ぎ資料に問題があったと言いたいらしい」

 一年前、王都を去る前にできる限りのことはしたいと作った引き継ぎ資料。それがあれば、エルニーナの後任も作戦を立てやすいだろうと思った。
 だが、その資料に問題があったと言われてしまうとは、王都を去る前には考えてもいなかった。

「出頭しろという命令だ。エルニーナ嬢を王都に戻してまで、やりたいことがあるらしい」

 王宮の人間が、何を考えているのかわからない。だが、王宮からの出頭命令だ。
 エルニーナが行かなければ、辺境伯領への攻撃材料にされかねない。

「わかりました。王都まで行ってきます」

 行ってきます、だ。王都に帰る、ではない。
 もうここがエルニーナの生きていく場所だと思っている。

「何を言っている」
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