あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
第八章
ドラヴェンは、王宮への返事にエルニーナを辺境伯自ら王都に連れていくと書いたらしい。辺境伯領の実情について、報告も同時に行うとしたようだ。
 それからすぐに出立の準備がされ、その日のうちに出発することになった。
 辺境伯家の正面には、二台の雪竜車が並んでいる。馬車で行ってもよかったのだが、雪竜の方が馬より体力がある。
 馬ほど小回りはきかないのだが、ドラヴェンは雪竜を選んだ。
 一台はドラヴェンとエルニーナが乗る雪竜車、もう一台は王都に戻るティベルと騎士が乗ることになっている。ティベルは何か嫌な予感があって、王都に戻ることにしたようだ。
 ドラヴェンは、辺境伯としての正装を身にまとっていた。黒を基調とした礼服で、辺境伯領の紋章が背中に刺繍されている実に美しい品である。
 エルニーナは、旅行用のドレスだが、王宮所属の文官として王都に戻ることになっているので、最近は身に着けていなかった制服も荷物の中に入れてある。
 護衛の騎士達は馬だ。

「辺境伯様が一緒に行ってくれるのなら、安心ね」
「ソリン嬢の言うとおりだ。辺境伯様が同行する以上、エルニーナ嬢に手荒な真似はできないだろうよ」

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