あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 一年前まで王都にいたエルニーナの目からすると大きな変化はないように見えるが、最後に来たのが十年前ともなれば、それなりに変化はしているのだろう。

(……気が重いのかしら)

 窓の外に向けられているドラヴェンの顔は、なんだか不機嫌そうだ。口角が下がっている。いや、十年ぶりに王都に戻り、国王や貴族達と対面しなければならないのだ。気が重いどころではないに違いない。
 そんなことをしている間に、雪竜車は王都の東門をくぐっていた。
 石畳の大通り。立ち並ぶ商店。行き交う人々の喧騒。商店では、店の前に立った主が、客を呼び込もうとしている。
 王都で滞在するのは王宮ではなく、辺境伯家の王都邸だ。先代王妃の生家のものだったのだが、先代辺境伯が辺境伯として任命される際、王都で使う屋敷として譲り受けたらしい。

「辺境伯家の別邸だが、しばらく使っていない。手入れはさせているから大丈夫だと思うが……」
「問題ありません」

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