あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
ごくりと息を呑んで、エルニーナは足を踏み入れる。こうして、王都に戻ってくることがあるとは思っていなかった。
長い廊下。遠巻きにこちらを見ているのは、文官の制服をまとった者達だ。あの中に、エルニーナの顔見知りもいるのかもしれない。
並んで歩いているドラヴェンの顔を見上げてみる。彼の表情は険しかった。
(……王都に入った時みたい)
あの日、共に乗っていた雪竜車の中で見たドラヴェンも、こんな顔をしていた。
あの時は不機嫌なように見えていたけれど違う。何かを決意した表情だとこの時になって気づく。
「辺境伯様……あの」
声をかけた時、先に歩いていた侍従が足を止めた。いつの間にか、王宮の中でもだいぶ奥の方まで来ていたようだ。彫刻の施された立派な扉の前だった。
「――辺境伯様は、こちらのお部屋へ。ヴァレスク男爵令嬢は、別室にてお待ちいただきます」
「……別室?」
「陛下のご意向です」
エルニーナが首をかしげると、侍従はなんでもないことのように言い放った。
「共に話をすると陛下への手紙には書いたはずだが?」
長い廊下。遠巻きにこちらを見ているのは、文官の制服をまとった者達だ。あの中に、エルニーナの顔見知りもいるのかもしれない。
並んで歩いているドラヴェンの顔を見上げてみる。彼の表情は険しかった。
(……王都に入った時みたい)
あの日、共に乗っていた雪竜車の中で見たドラヴェンも、こんな顔をしていた。
あの時は不機嫌なように見えていたけれど違う。何かを決意した表情だとこの時になって気づく。
「辺境伯様……あの」
声をかけた時、先に歩いていた侍従が足を止めた。いつの間にか、王宮の中でもだいぶ奥の方まで来ていたようだ。彫刻の施された立派な扉の前だった。
「――辺境伯様は、こちらのお部屋へ。ヴァレスク男爵令嬢は、別室にてお待ちいただきます」
「……別室?」
「陛下のご意向です」
エルニーナが首をかしげると、侍従はなんでもないことのように言い放った。
「共に話をすると陛下への手紙には書いたはずだが?」