あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 大丈夫だ、と重ねて言う。一瞬、見つめ合うように二人の視線が絡まった。
 その奥に熱のようなものを感じたのは、エルニーナの気のせいだろうか。それとも、期待だろうか。
 身分差があるのはわかっている。でも、気持ちは縛れない。もし、気持ちだけでも通じ合わせることができていたならば。

(……余計なことを考えては、駄目)

 身勝手な期待を追い払うように、頭を振る。

「わかった。だが――何かあれば、すぐに人を呼べ。大声をあげてもいい」
「そうします」

 大声をあげたところで、彼のいるところまでは届かないだろう。だが、そうやって勇気づけてもらえるだけでありがたい。

「行きますよ」

 話が終わったと受け取ったらしい侍従が、エルニーナを促す。彼に従って歩きながら、深い呼吸を繰り返した。
 この先、何が起こっても対処できるように気持ちは落ち着けておきたい。
 通されたのは、窓のない小さな部屋だった。
 調度品は最低限。椅子が一脚と、小さなテーブルが一つ。国王への謁見を求めるというよりも、罪人を閉じ込めておくような部屋に見える。

(……こういう時、飲み物ぐらいは出すはずなのに)

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