あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 国王へ面会を求めても、すぐに謁見の間に通されるわけではない。短くても三十分、長ければ数時間待たされるのが当たり前。
 そのため、茶菓子を供するのが王宮の決まりだったはずだが――エルニーナは客人ではないにしても、こんな扱いを受けねばならないいわれはない。
 ドラヴェンの方は、もう少しましな扱いだといいけれど。さすがに国王の弟に、飲み物一つ出さないなんて考えたくもない。
 魔石ランプの明かりが、柔らかく室内を照らしている。暇つぶしの書物ぐらい持ってくればよかっただろうか。
 せっかく王都に来たのだから、流行小説を買いに行くぐらいできたのに。なんて余計なことばかり考えてしまう。
 こうやって物音一つしない状態でエルニーナを放置するのも、心の面から揺さぶりをかけているのかもしれない。
 待つように言われてから、どれほどの時間が経っただろう。
 一時間か。二時間か。窓がないから、外の明るさで時間を計ることもできない。
 わざとだ。待たせて不安にさせ、精神的に追い詰める。それぐらい、エルニーナにだってわかる。

(……この一年、私は様々な経験をしたわ)

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