あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 マクシムは、王笏を握っている方の手を振り回した。国王らしい威厳なんて、どこにも感じられない。

「この無能者! お前が! お前が、騎士団の壊滅を招いたのだろう!」

 甲高い声が、玉座の間に響き渡った。
 エルニーナは、黙ったまま彼を見つめた。あの頃だったら、きっと何も言えなかった。
 でも、今は違う。

「……なんてことを言うんだ」

 という声が聞こえたのは、騎士達のいる側からだった。思わずといった様子で漏れたその言葉に、マクシムは顔を引きつらせる。

「そうだ! 例年通りに辺境伯家の騎士達と合同で討伐を行っていれば!」
「補給がうまくいかなかったのは、補給計画を立てた者の失敗だろう!」
「エルニーナ嬢は、王都にはいなかったんだぞ。どうやって、計画を邪魔するというのだ!」

 そうだそうだと賛同する声が重なる。マクシムはますます顔を引きつらせた。
 彼の顔は真っ赤になっていて、怒りを懸命に抑えようとしているようだ。

「うるさい!」

 怒りを抑えられたのは、ほんの一瞬だけだった。

「私は失敗なぞしていない!」

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