あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 こんな男に、国を任せていいのだろうか。
 やらないと決めていた。でも、マクシムの頭上に目をやる。
 向いている職業――この男の頭の上は空っぽだ。
 主に幼い子供に見られる傾向だが、頭の上に浮かぶ文字が変わることがある。
 たとえば、もともと別の職業だったものが、親の仕事になる――などがその例だ。歌姫から、歌姫・家具職人になるとか。軽業師から医師・薬師になるとか。
 きっとそれは、その子供が両親を尊敬し、その仕事を受け継ぎたいと願った時にそうなるのだろう。
 だが、マクシムの頭上は空っぽ。もしかしたら、以前は何か文字があったのかもしれないが、彼は何もしなかった。結果、向いている仕事が失われてしまったのだろう。

「者ども、この娘を捕らえろ! そして牢に連れていけ!」

 エルニーナの表情に、マクシムは本能的に恐れを覚えたようだった。裏返った声でそう命じるが、動くものはいない。

「王?」

 エルニーナは、静かに言った。

「誰が王だというのかしら?」

 右手を上げていく。真っすぐに人差し指を、彼に向かって突きつけた。

「あなたに王の資質はない」

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