あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 真っすぐに向けられた指の先にいるのは、国王マクシム。
 玉座の間が、しんと静まり返った。

「あなたは騎士団の命を預かりながら、彼らを守ろうとしなかった。部下の成果を横取りし、失敗を押しつけ、都合の悪い人間を追い払った」

 エルニーナの声は、震えていなかった。あの頃とは違う。

「騎士団が壊滅したのは、私のせいではありません。陛下、あなたのせいです」

 ああ、今ならわかってしまう。
 彼は、ドラヴェンを恐れていた。王都から遠く離れたところで暮らすと決めた弟を、彼は恐れていたのだ。

「な、なんてことを言うのだ! 馬鹿げている! 誰か、その娘を捕らえよ!」

 きぃきぃとわめくマクシムの言葉に、騎士団員達が動き始める。
 だが、その動きは――マクシムの命令に従うものではなかった。
 彼らは、エルニーナを国王の目から隠そうとしているかのように、位置を変えていた。エルニーナと王の間に立ちふさがり、エルニーナを守ろうという意思を見せている。
 エルニーナは動こうとしなかった。指先は、マクシムに突きつけられたまま。

(ここに来るまで長かったわ……!)

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