あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
「なっ!」

 マクシムは口を開きかけたけれど、彼の口からそれ以上の言葉が出てくることはなかった。
 ドラヴェンの身体から放たれた目に見えない鎖に縛られたかのように、彼は動きを止めたまま。

「なぜ、俺を放っておいてくれなかったんだ。俺は、あの地での生活に満足していた。あなたは国を、俺は辺境伯領を守る――それでよかったじゃないか」

 ドラヴェンの言葉に、集まった者達はしんと静まり返った。

「お前の方が、王にふさわしいと! 父上はそう言っていた! 叔父上もだ……ならば、なぜ、そうしなかった?」

 同情はしないが、マクシムは先代国王の言葉に縛られていたようだ。
 辺境伯領にドラヴェンが行ってからも、少しも安心できなかった。
 先代辺境伯の後を継いだドラヴェンが苦労しているのをいいことに、足を引っ張ってやろうと使えない役人を遣わした。

(……あまりな言い草だわ)

 とぎれとぎれのマクシムの言葉を繋げると、どうやらそういう目論見だったらしい。
 エルニーナもすっかりあきれてしまった。というか、辺境伯領に追いやられたのは、やはり使えない人間だと思われていたからか。

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