あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
「……ステファノ・パラディーヌ。お前は、マクシムの言葉に従ったのだな。そんなに、甘い汁が吸いたかったか? おかげで、騎士達に甚大な被害が出ることになった」

 ステファノは、マクシムの意を受けて、『使えない文官』を辺境伯にやった。冬の視察は、辺境伯領の勢力をそぐための下見だった――ヤーゴット伯爵領での魔物討伐の失敗は、彼のせいだ。
 エルニーナの提出した情報も、ドラヴェンの警告も無駄になった。

「俺は忠告した。ティベル・ロッカの計画を覆すなと。騎士達の装備を削るなと。補給路を確保しろと、そう書いただろうに」

 ドラヴェンの声は低かった。怒鳴ることはしなかったが、それだけにその声音の底にある怒りが、見ている者を震え上がらせる。
 それは、マクシムだけではなくステファノ、この状況を面白がって見守っていた貴族達も同じだった。

「俺が送った書状は、ここにある。マクシム騎士団の保管庫にあったものだ。エルニーナ嬢が作った資料もだ」

 どこからか取り出されたのは、きちんと閉じられた書類の束。

「権力に溺れ、騎士を、民を、すべての者を危険にさらすお前に――王の資質はない」

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