あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 だが、今はまったく違う響きを帯びている。知らず、エルニーナも膝をついていた。
 頭上を見なくてもわかる。王たる資質を持つ人は、ここにいたのだ。


 玉座の間を出た時、エルニーナの足は震えていた。
 廊下に出た途端、がくりと膝が折れそうになった。壁に手をついて身体を支えたところへ、ドラヴェンの腕が伸びてくる。

「おい、大丈夫か」
「だ、大丈夫です。ちょっと、足に力が入らないだけで」
「大丈夫な顔ではないぞ」

 ドラヴェンに支えられたまま、エルニーナは深く息を吐いた。

「……辺境伯様、あれは、計画通りだったのですか?」
「計画?」
「騎士達が、辺境伯様に跪いたこと。あれは――」
「そうだな。辺境伯領にいた頃から、ティベルと計画は立てていた。貴族達はどう思うかわからないが、騎士達が俺についた以上、彼らも何も言えないだろう」

 簒奪するつもりはなかったが、万が一の時には、それもやむなしと考えていたようだ。貴族達がどう判断するかはわからないが、王国を守る騎士団に、魔物を討伐する騎士団、そして辺境伯領で結成された騎士団がドラヴェンに忠誠を誓った。

「辺境伯様……いえ。ドラヴェン様」
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