あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 こんなに彼がにこにこしているのを見るのは、配属されて以来、初めてのことだ。

「本当ですか?」
「ああ。狩りの才能を持つ者に数名付けて、狩りに行かせ、現地で食糧を確保することができた。生鮮食品は消費したが、日持ちするものはあまり手をつけずにすんだ」

 今までも遠征先で食料の調達をすることはあったが、今回ほど大量に食料を確保できたことはなかったそうだ。
 今回使わなかった食料は、次回の遠征で使うので無駄にはならない。

「野草の知識などは皆叩き込んでいるが、薬師として経験を積んできた者を入れただけで、採取できる率がぐんと向上した」

 野営の準備をしている間に、野草の採取にも行ったそうだ。新鮮な野草がスープに入るだけで、味がぐんと上昇したという。

「薬師の皆さんは、日ごろから野草を観察していますからね。どういった場所で見つかりやすいのか経験で知っているのでしょう」

 もちろん騎士団でも、狩りの方法や食べられる野草を見分ける方法について教えている。だが、あくまでも教科書から学ぶこと。実際に野草を採取して食べるにしても、未経験者が図鑑を手に探してもなかなか見つからない。
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