あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
「そうだな、そういった者が一人いてくれるだけで変わるか。だが、俺が遠征に行っている間は、その者はどうするのだ?」
「騎士団の皆さんが留守にしている間も、仕事はいくらでも出てくると思います」

 王宮所属の騎士団は、貴族であることが必要最低限の条件だから、読み書きも計算も家庭でできる。だが、身体を動かすのが得意な人は、書類仕事が苦手な傾向が強い。

(騎士でも、書類仕事が得意な人がいないわけじゃないんだけど……)

 残念ながら、今回はそういった人材は配属されなかった。エルニーナに配属される騎士を選ぶ権限があるのなら、ティベルの求める人を探すのに。

「そうだな。人事にかけあってみよう。エルニーナ嬢、今回は非常に助かった」
「いえ、仕事ですから」

 こんな風に仕事を認めてもらえたのは初めてだ。
 淑女らしい態度を心がけながら、こっそりスカートの陰で拳を握りしめた。




 新たに設立されたマクシム騎士団は、魔物を次々に討伐し、華々しい成功を収めていた。ティベルが、エルニーナの提案を柔軟に受け入れてくれたというのも理由のひとつかもしれない。
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