あなたは王の器じゃありません 文官令嬢、辺境の地でその才を発揮する
 人事の仕事が一番向いていると思っていたけれど、この騎士団の仕事はエルニーナ本人が思っていたより向いているかもしれない。
 ここでなら長く働けそうだ――というエルニーナの予想が裏切られたのは、騎士団に配属になって三か月後のことだった。


 エルニーナが呼び出されたのは、懐かしの人事部だった。ステファノの執務室は、彼の性格を表すようにきっちりと片づけられている。

「お呼びと伺いました」

 エルニーナが室内に足を踏み入れた時、ステファノは机に向かっていた。机の上には、何枚かの履歴書が置かれている。きっと、新たに採用した人の配属先を考えていたのだろう。

「君の次の配属先が決まった」
「……え?」

 上司の前で不躾な声が出てしまってもしかたないだろう。
 だって、マクシム騎士団に配属されてからまだ三ヶ月だ。大きな失敗をしたとかならばともかく、エルニーナは成果を上げている……はずだ。
 もしかしたら、ティベルからエルニーナはもう不要だという話が出ているのかもしれないが、彼と日頃接している雰囲気からは、そんな様子はまったく感じられなかった。

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